コメント
(敬称略・順不同)
小鷹信光/作家・翻訳家
「お前が死ぬ前に最後の煙草を」の歌詞が重なるラスト・シーン。ここで初めて、荒涼としたセンチメントを淡くつたえる。これが、新しいノワールの文体なのだろう。
新保博久/ミステリー評論家
甘ったるい駄菓子のようなロマンスよ、さようなら。血しぶきも拷問される者の悲鳴も、演技や映像トリックだから怖くはない。だがフィクションの向こうに、本物の冷血が脈打つ。
中辻理夫/文芸評論家
この映画は安っぽい子供文化に対する挑戦状だ。暗闇の中で苦い酒を飲みながら生き方を模索しているすべての大人たちに観てもらいたい。凶暴と冷徹が今の時代には必要なのだ。
三橋曉/ミステリ・コラムニスト
ノワールの母国、フランスの暗黒街をリアルに描き出した作品だ。暴力と裏切りが渦巻く社会のダークサイドを、綱渡りのように生きていく主人公フランクの姿が、鮮烈な残像となって瞼に残る。
秋本鉄次/映画評論家
ノワールの仁義に唾吐き、美学に泥を塗る!これは“フランス版仁義なき戦い”か。暗黒街の腐れ外道どもが血飛沫で魅せる“太く短く”が圧倒的刺激だ。マジメルの見事なイメチェンも、“極妻”ベアトリス・ダル姐も激アツ!!
吉野仁/ミステリー書評家
過激な、あまりに過激な暴力と性と殺戮の果てに裏切り裏切られていく男たちの「どこにもなにもない」黒さに圧倒されるばかり。
ときわ書房本店/宇田川拓也
人間の“威力”は、闇を抜けた光の先にさらなる暗黒が横たわろうと衰えはしない。この映画は終始、“威力”に憧れることを恐れるな―と、画面から妖しく執拗に手招きする。
「私の好きな○○映画」ベスト3
新保博久/ミステリー評論家
私の好きな「犯罪映画」ベスト3
・『冒険者たち』ロベール・アンリコ監督
・『3人の逃亡者』(米版)フランシス・ヴェベール監督
・『OUT』平山秀幸監督
中辻理夫/文芸評論家
私の好きな「犯罪映画」ベスト3
1位 『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』ジョン・カサヴェテス監督
2位 『その後の仁義なき戦い』工藤栄一監督
3位 『ミラーズ・クロッシング』ジョエル・コーエン監督

1はクラブ・オーナーがヤクザ抗争に巻き込まれる物語だ。カタギが犯罪社会に染められていく緊張感、それでも消えない彼の誇りがいい。2は光と影が明滅する中、浮き上がる若いヤクザのシルエットが印象的だ。青春ロック・ムービーとしても秀逸である。3は銃撃戦に妙なおかしみを加えるという高等技術に驚いた。暗黒街ものでありながら美しい緑の風景を挿入するのも独創的である。

三橋曉/ミステリ・コラムニスト
私の好きな「犯罪映画」ベスト3
1位 『ビッグ・スウィンドル!』チェ・ドンフン監督
2位 『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』ガイ・リッチー監督
3位 『ワイルドシングス』ジョン・マクノートン監督

犯罪映画という言葉の響きはやや古めかしさがあるので、あえて比較的新しい作品から選びました。いずれも、ミステリとしてのツイストが効いているところがミソです。1は、観客に向けて大胆不敵な罠を仕掛けた韓国映画。2は、ロンドン下町がぷんぷん臭う、いきのいい犯罪劇。3は、徹底してサプライズ・エンディングに淫した快作。犯罪映画は、騙されてナンボだと思っているミステリ好きのセレクトです。

秋本鉄次/映画評論家
私の好きな「アウトロー、ノワール」ベスト3
1位 『仁義なき戦い』深作欣二監督
2位 『スカーフェイス』ブライアン・デ・パルマ監督
3位 『ラ・スクムーン』ジョゼ・ジョヴァンニ監督

フレンチ・ノワールなら巨匠ジャン・ピエール・メルビルの傑作群を選ぶのが仁義だろうが、『裏切りの闇で眠れ』の世界に呼応するなら、わが日本の『仁義なき戦い』に到達する。アメリカならアル・パチーノが暴れ狂った『スカーフェイス』だ。“ご当地”フランスから選べば、マジメルの生き方を『ラ・スクムーン』の“死神”ジャン・ポール・ベルモンドに重ねたい。

吉野仁/ミステリー書評家
私の好きな「古典フィルム・ノワール」ベスト3
・『郵便配達は二度ベルを鳴らす』ルキノ・ヴィスコンティ監督
・『過去を逃れて』ジャック・ターナー監督
・『黒い罠』オーソン・ウェルズ監督

海外に比べ日本でDVD化されていない作品があまりに多く、観たのはほんの一部にすぎない。まだまだこのジャンルは玉石混交の中から探すべきものがあるはずだ。

ときわ書房本店/宇田川拓也
私の好きな「異色OVやくざ映画」ベスト3
1位 『FULL METAL極道』三池崇史監督
2位 『海賊仁義』室賀厚監督
3位 『超極道』瀬々敬久監督

10年を経てなお1を超えた“異色”は誕生していないその事実が凄い!
2は持ち出された組の“守護石”を取り戻すため、若頭がマニラで奮戦!
やくざの組が“石”で護られている?――とか考えてはいけない。
3はパッケージからは想像もつかないファンタジーが炸裂するので覚悟せよ!