物語
墓標はいらない。ただ、この闇に生き、この闇に死んでいく男達。

闇の向こう側から、男が歩いてくる。煙草をくゆらせ、サングラスで表情はわからない。男は“フランク”と呼ばれている。仲間のジャン=ギィと闇社会で危険な商売を請け負っている。

パリの闇社会で力を持った数少ない男、クロード・コルティ。売春斡旋業、麻薬売買、偽札、車の盗難、恐喝、ピストル強盗……、彼は自分の縄張りで起こることは何でも知っている。暴力だけが彼を生き続けさせ、裏切り者には容赦はない。コルティの情婦ベアトリスは、彼が凶暴な悪党であることも承知で、それでも彼を愛していた。

ある日、クロードにコカインの大きな取り引きが持ち込まれる。しかし、相手の裏切りから取り引き現場は派手な銃撃戦となり、しかも、相手に逃げられてしまう。クロードはフランクに裏切った取り引き相手の殺しを依頼する。クロードはフランクを自分の息子のように信頼していた。自分の手下にはこれほどの男はいない。フランクとジャン=ギィはクロードの依頼を受け、裏切り者の居場所を突き止め、泣きわめいて命乞いをする男を、無慈悲に射殺する。

石と思われたクロードの組織だったが、ある夜突然、クロードとベアトリスの家に警察が踏み込む。偽造車検証が見つかり、あっけなくクロードは逮捕される。一体誰がクロードを売ったのか。闇社会に動揺が走る。

生き残るためのルール、それは非情であること。何よりも孤独であること。

1年後。新興のアラブ人ギャング、ラルビとイシャムは、刑務所暮らしのクロードの留守を出し抜き、商売を意のままにしていた。クロードは、ベアトリスや手下達から情報を集め、密かに彼らの動向を探っていた。

クロードの仮釈放の日が近づく。何かが起きる、ベアトリスは、そんな予感に身を震わせ、フランクのもとを訪れる……。
一方、闇社会では、ラルビとイシャム、クロードの手下達が、その日に備えて次第に緊張を高めていく。誰かが必ず殺される。血生臭い陰謀が闇にうごめく。

誰が敵で、誰が味方かもわからぬまま、非情な戦いが幕をあける。フランクにも危険が迫る。
「身を隠すより 俺は銃を選ぶ」。フランクは生き残るために非情な決断をする。だが、約束の時間に相棒のジャン=ギイがあらわれない……。

果たして、この裏切りの闇で生き残るのは誰なのか……。